ポルシェの整備 911(997)バッテリー上がりやすい原因を発見。
待機中は、セキュリティーが動いていたりと、微量の電流を使用しているので、
満充電であっても一定期間乗らないと充電を使い切り、いざ乗りたい時にバッテリー上がり。
ポルシェともなると、毎日乗る人も少なく、月に数回、もっと少ない場合もあります。
JAFさんや、保険会社のレッカーサービスを呼んだ経験がある方は多いのではないでしょうか?
今回、入庫しましたのは私の長くお付き合いくださっているポルシェ911(997)も数度のバッテリー上がりを経験し、
まだ3万キロ台だというのにバッテリーは数回、オルタネーターも交換した経緯があります。
『またエンジンがかからない』
症状的には、電圧が低い、バッテリー上がりに近い症状のようで、
JAFさんを呼んでジャンピングしてもらったそうです。
バッテリーも先日新品に交換し、数か月、バッテリー上がりを起こさないように
なるべく乗っていたそうなので、なぜだろうか。
まずは原因を探るべく、引き取ってきました。
ちなみに、年式は2004モデルのカレラ2のマニュアルです。
バッテリー電圧は、12.5Vと低い。
エンジンON、負荷なしの状態でこの数字だと、ほとんどのケースで
『オルタネーターが発電不良』が疑われます。
オルタネーター単体検査、バッテリー単体検査
バッテリーは2アンペア程度で1晩かけて充電しました。
オルタネーターは電装屋さんで点検
両方とも問題なし。
そのはずです、バッテリーは交換して間もなく、
オルタネーターも2年前に交換しています(BOSCHリビルド)
今度は、車体上で検査してみますので再度組付けます。
ポルシェは割と脱着が簡単です。
順を追って調べます。
オルタネーターの発電量は、14.39Vと、申し分ない発電量です。
次に オルタネーターからスターターを経由して、
バッテリーのプラス端子に向かうケーブルの途中を計測。
オルタネーターが14.39Vなのに、1ボルトもロスしています。
バッテリーのプラス端子で計測すると、13.16ボルトまで落ちています。
本来ならオルタネーターの発電量と同じ14ボルト台ではないとなりません。
整理すると、バッテリーに電気を貯めるためには、オルタネーターで発電した電気を
ロスなくバッテリーまで運ぶ必要があるわけですが、
電気を運ぶための通路は皆さんご存知のバッテリーに繋がっている
『赤い方の太いケーブル』です。
バッテリープラス端子 → スターター → オルタネーター
の3人衆が仲良く手(太いケーブル)を繋ぐことで車の電気を流通させています。
発電元はオルタネーターになりますから、
オルタネーターが14.39Vなら、
スターター経由して バッテリー電圧も14.39Vになるはずです。(多少のロスはある)
つまり、この通路(ケーブル)でロスしているという事になります。
外しました。
下記、オルタネーターとスターター間のケーブルなのですが、スターター取り付け部分のアップ。
分かりにくいのですが、劣化し、何回かショートしたのか
絶縁カバーのゴムも焼けて溶けていました。
銅線も数本切れていていました、どうやらここで電気ロスが発生し、十分な電気を
バッテリーに送り届けることが出来ず、走行しても微量しか貯めることが出来ず
バッテリー上がりを起こしてしまっていたようです。
新品ケーブルに交換。
しっかり14ボルトちょっと電気が来るようになりました。 十分は発電も確認し、
エアコンON、ハイビームなど高負荷でも電圧低下は微量。これで問題なく供給されていることを確認。
テスター接続し、こちらでも確認、フォルトもないことを確認ししゅうりょうです。
日記では簡単にケーブルの交換を行っていますが、非常に大変な作業でした。
エンジンの種類、前期、後期などによっても、レイアウト変更されているようなので注意が必要です。
よくこんなことやったなって感じです。手は傷だらけ、指は普段曲がらない方向に曲がっていましたし、
エンジンルームとエンジン下で息を合わせてケーブルを通すので二人で協力しないとできないし
老眼と、鳥目にはしんどい作業で、ああ、大変でした、本当に、、、
もう二度と。。。 もう二度と。。。
いえ、似たような症状でお困りでしたら
何なりとお申し付けください。
ポルシェの整備は原自動車株式会社に。
ご連絡お待ちしておりますm(__)m